株主優待とは直接関係ないけど、日本株・長期投資という面では考え方が参考になる。日本株はダメだと言われる中で日本株に投資し、さらに株主優待を受けるために長期保有を継続する優待族が、批判を受けるなかでもいや間違った投資ではないと主張する理論補強にもなるかもしれない。


本書のごく一部の抜粋

TOPIXはバブルのピーク時だった1989年12月末から2012年12月末までの23年間では6割の下落……ITバブルのピーク時の1999年12月末からの13年間では4割の下落……


13年間で株価が上昇した銘柄は1008もあり、その数は東証一部銘柄の6割近くに上りますし、24%を超える銘柄については株価は2倍以上に上昇しています。


「旬のテーマ」を追いすぎると株価の乱高下に神経をすり減らしたうえに、過大な手数料を何度も払うことになりかねません。

「日本経済=日本株」ではない

市場平均しか見ていない場合に、日本株はダメだと言われるが、全体としてはそうかもしれないが個別銘柄を見ていくと上昇している株は決して少なくないし、中には非常に輝いている銘柄もある。

そういう銘柄に投資することができれば、低成長時代においても十分に利益を上げる可能性があることを強調している。

仮に少子高齢化により日本経済が停滞するから、海外とくに新興国に投資したらいいとしても、情報が少なく直接投資が難しいし為替リスクも大きい中で新興国でビジネスを拡大している日本企業に投資をすることで新興国の経済発展の恩恵を受けることは十分に可能であることを示している。

ただ、他に仕事をしている人が何千社の業績を分析して、今調子がいいだけではなく今後長期にわたって発展する企業を見つけるのは難し。でもそういう投資信託を選んで購入すれば、多くの企業分析を自分で行う必要はない。だから7%であれば決して無理な数字ではないと言うこと。

ここで投資信託の中でも、どんな投資信託を選べばいいのか?本書の著者はコモンズ投信という投信会社。なんだ自社の宣伝かと思ったがそうとも言えなかった。

もちろん、投資信託の選択基準を示す中で自社の投資信託も登場するのだが、それは著者が世の中の投資商品を見て、長期投資に向いた商品が少ないことに嘆き、それでは自分で作ろうと言うことで設計した結果がコモンズ投信なので当然そうはなってくる。だが、その基準のなかに「純資産総額が30億円以上のファンドで、12ヶ月連続で資金流入が続いている」というのにひっかかり自社投信はNo.1のオススメになっていない。これは非常に正直、30億円未満であれば自社投信が50ヶ月以上の資金流入と誇っている。

きちんと何が個人が長期投資すべき商品として優れているかきちんと述べられている証拠とも言える。

この会社の商品を買わない人には関係ないかというとそうでもない。どういう投資信託がいいかを半分以上のページを使って説明しているが、その中でダメな投資信託についても明確に述べている。残念ながら現在の販売現場の事情からそういうダメな投資信託が非常に多い。それを見極めて銘柄選択をする基準として参考にできる。

そういう選択をする場合に使えるサイトとして「投信まとなび」も紹介していた。

とにかく具体的に参考になる情報の多い本であった。

なお、現在日本にもジュニアNISAが導入されているが、英国で先に導入されていた「チャイルドトラストファンド」についても本書で始めて知った。この制度は2011年にジュニアISAと名称を変えて制度変更されているが、中途半端な日本の制度に比べて非常に優れた制度のように見える。さすがわ金融先進国イギリス。



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