サブタイトルは「大学教授が伝授する低位株での堅実な投資実践法」

NISA(少額投資非課税制度)と引っかけているが、本質はサブタイトルのほうがより的確に表している。著者が実践して高い勝率で利益を上げている低位株への投資法を説明した本。

NISAに適する投資として三つの投資をあげている。
(1) 低位株分散スイング投資
(2) 配当・優待狙いの長期投資
(3) 投資信託



だが、1は理由が飛躍しすぎていてなぜそれが適するのかの説明になっていない。

2, 3は記述に具体性が乏しく内容が薄い。そのため、2, 3についてはこの本を読んで実践するのは困難。そしてNISAの説明や、2, 3の記述にページ数を割いているため、1の手法についても記述が中途半端になってしまっている。

NISAに便乗しようとして本来書きたい内容を十分深く追求することができない失敗を犯しているように思える。次は低位株分散投資に特化して掘り下げた本を書いた方が役立つ本になると思う。

ただ、肝心の低位株投資も株価が半額になったらナンピンしろという記述があり、とても初心者向けとは思えない。1,000円の株は最大1,000円損をするが100円の株は最大の損失でも100円だという記述もなんだか理屈になっていない。(現物投資の場合)株価がいくらでも投資した分だけ損をするのは同じ。1,000円の株を100株買えば10万円をリスクにさらしているし、100円の株を1,000株買えばやっぱり10万円がリスク対象になる。NISAの恩恵を受けるためには利益確定をしなければならないが利益確定に関するルールも大雑把で実践に結びつけにくい。

私はNISA枠をどう使えばいいのか考え直す必要性を感じ、この本を読んでみたのだが、上記のようにその目的には不十分であった。が、まったく無駄という分けでもない。

NISAに適した投資信託について記述した部分は役にたった。曰く
・短期で乗り換えられないのでバランス型がよい
・元本分配するとその分NISA枠を売却しているのと同じことで、無駄にすることになるので毎月分配はダメ。
・長期分散の定額積立がよい。
・手数料の安いインデックス型がよい。
・為替リスクのない日本株がよい。
など。

この点は参考にしたいと思う。