先週、特定口座について「よくわからない人は自分で得失の計算ができるようになるまでは源泉徴収ありを選ぶのがいいよと」書いた。その流れで今回も特定口座の話を書こうと思う。

私が証券口座を開設したのは随分前なので最近の手続きを知らないのだが、口座の種類を選ぶと同時にいくつか別の決断を迫られているはずだ。

おそらく下記のような手順になっているのではないかと思う。
・[一般口座]か[特定口座]を選択
・特定口座を選んだ場合、源泉徴収[あり]か[なし]かを選択。
配当金の受取方式を選択。
・特定口座(源泉徴収あり)かつ「株式数比例配分方式」で受取を選択していた場合、特定口座内に受け入れるかどうかを選択。

今回は最後の「配当金を特定口座内に受け入れる」ことの意味について書く。



□配当金の受取方法


平成22年1月(2010年)以降配当金の受取方法が変わった。その配当金の受取方法は以下の4通りがある。
・株式数比例配分方式
・一括振込方式(登録配当金受領口座方式)
・配当金領収証方式
・個別銘柄指定方式

それぞれの長短は今回はおいておいて最初の一つに注目する。この「株式数比例配分方式」はその株式を保有している証券会社での所有株式数に応じて配当金を受け取る方式。ここで特定口座(源泉徴収あり)の設定をしている場合に、ここで受け取った配当金と特定口座内の損失と相殺することが可能になる。ただし設定が必要。その設定が先の「配当金を特定口座内に受け入れる」だ。

□配当金と株式譲渡損失の相殺


平成21年(2009年)以後、配当金と株式譲渡損失の相殺が可能となっている。これは特定口座で受け入れない場合には確定申告時に相殺するように申告することで実現可能。個人が受け取る配当金は通常所得税・住民税20%(他に復興特別所得税が必要)が源泉徴収されている。株式譲渡損があるときに、確定申告すると損失分の税金を返してもらうことができる制度だ。

さらにこの【特定口座(源泉徴収あり)+「株式数比例配分方式」+特定口座内に受け入れる】場合、証券会社が譲渡損失と受取配当金の額を計算して自動的に還付してくれる。投資家は一切なにもする必要がない。

1年間で株式の譲渡益が出ていた場合には関係無い。株式譲渡益分の税金と、配当金の税金は源泉徴収されて納税済み。投資家は何もしないし還付もない。

一方、株式の譲渡損失があった時。1年分の損失が受け入れた配当金よりも多ければ、配当金から源泉徴収された税金は全額戻って来る。逆に損失が配当金額よりも少なければ損失額に相当するだけ税金がかえってくる。この手続きについても、投資家はなにもする必要がない。証券会社が自動的に計算して還付金を入金してくれるのだ。

例1)1年間の株式譲渡益 100万円、受取配当金50万円の場合
譲渡益からの源泉徴収 20万円、配当金からの源泉徴収 10万円の合計30万円の納税済み。

例2)1年間の株式譲渡損 100万円、受取配当金50万円の場合
50万円 - 100万円 = -50万円なので、口座内では50万円の損失となり、配当金からの納税済み10万円の源泉所得税は全額還付される。

例3)1年間の株式譲渡損 20万円、受取配当金50万円の場合
50万円 - 20万円 = 30万円なので、口座内では30万円の利益となる。配当金から10万円の源泉所得税を納付済みだが20万円分つまり4万円還付される。納付した源泉所得税は6万円。

※簡単のため復興特別所得税はないものとする。

上記はすべて証券会社が計算してくれて投資家は最初の設定だけで何も手続きをする必要がない。

株式売却益は利益が確定した時点で税金は源泉徴収される。配当金も支払い時に源泉徴収される。株式売却損は株式売却益があればすでに徴収した税金からその日の値洗い後に還付される。配当金については年末に1年間の損失が確定した後、還付金が計算されて口座に入金される。

なので通常初心者であればこの設定にするのが楽だ。

日本証券業協会 PDF

□注意点


この便利このうえない制度だが少しだけ注意点がある。証券口座を複数持っている場合だ。

Tax Answer - No.1476 特定口座制度「3 源泉徴収口座内で受け入れた配当等と譲渡損失との損益通算」

また、その源泉徴収口座内で生じた上場株式等の譲渡損失の金額について、確定申告を行うことにより、他の上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び他の上場株式等に係る利子等の金額及び配当等(上場株式等に係る配当等については、申告分離課税を選択したものに限ります。以下同じです。)の金額から控除するときは、その源泉徴収口座に係る上場株式等に係る利子等の金額及び配当等の金額は確定申告不要制度を適用できないことから確定申告する必要があります。


他の証券口座に譲渡損失がある場合に、他の口座と配当金を受け入れた口座の利益と相殺したいという場合。あるいは逆に他の証券口座の譲渡益を、配当金を受け入れた口座の損失と相殺したい。というときに、合算するのは配当金と譲渡損失を相殺したあとの口座の損益だけしかできないということ。この口座に関して譲渡損益の申告をする場合にはこの口座で受け入れた配当金全額についても必ず確定申告しなけrばならない

複数口座があってしかも口座間の損益通算をしたいけど、配当金の申告はしたくないというケースは特殊なものだと思うけど一応注意点としてあげておく。損失の繰り越しをしたい場合も、口座内で相殺された場合には納税関係は終了しているので相殺されなかった残りの分だけしか繰り越しできない(PDF)。

私はすべての口座は「特定口座・源泉徴収あり」にしていて配当金は口座内では受け取らず「一括振込方式(登録配当金受領口座方式)」にしている。なのでこの特定口座内で受け入れ(て相殺する方式)は使っていない。


なおすでに還付申告は確定申告可能になっているのだが、e-taxの確定申告書作成コーナー2017年度分も開設されて作成可能になっている。オンラインで確定申告書の作成をすれば何と何を入力すればいいとか、入力漏れがああるよとか、間違っているとか表示されるので、複雑なことをしなければ個人でもそれほど手間なく申告書が作成可能。こういう条件で申告すれば税金が安くなるとかシミュレーションしながらできるので便利。