株主優待大好きおじさんで有名な元プロ棋士・桐谷広人さん。彼のおかげで株主優待というのは広まったし、株式投資を始める人も増えた。が、一方で桐谷さんはちゃんと株主優待のマイナス面も広めている。

今回はそのマイナス面をまとめてみる。

・株主優待券は使える店に制限がある。
・株主優待券には有効期限がある。
・株主優待券ではお釣りが貰えない。



もちろん、発行企業のお店とその提携店でしか使えない。ある種のクーポン券と同じ。これは仕方ない。が、使えるお店が近所になければ遠方まで時間と交通費を費やして出かけていかねばならない。桐谷さんは、都内を縦横無尽に自転車で横断してしまう健康さを見せているが、普通の人にはなかなか真似できないこと。使えるお店が近くになければ宝の持ち腐れになってしまう。しかも、お店によっては性別年齢など趣味嗜好が限定された商品を扱っていることもある。たまたま、その店で欲しい物があれば問題ないが、欲しい物がなければ無駄にしないためになんとか買いたい物をひねり出さなければならない。桐谷さんが、ビレッジバンガードや洋品店などでなんとか買う物を見つけようと四苦八苦している姿を何度も見かけている。

発行から半年とか1年とか、あまり長くない有効期限が設定されていて、その日までに使わなければ、ただの紙くずになってしまう。普段から使っているお店、頻繁に使うお店であれば問題ない。忙しい人であって、上記のように近くにお店がない場合には、有効期限までにわざわざ時間を取って買い物に行かなければならない。桐谷さんが、疲れて映画館で寝てしまったり、駆け足で博物館を駆け抜けたり、短時間に遊園地で乗り物を釣り継ぐ姿を何度見たことだろう。

額面が指定してある優待券では、額面以下で使用できても差額をお釣りとしてもらうことができない。最大限に使おうとすれば額面以上で使うことになるのだが、現金を沢山追加で支払うのでは株主優待券で購入したとは言えず、大いにしろ少ないにしろなるべく額面丁度の金額になるように購入するものを調整することになる。本当は今欲しい物でないものを買ったり、ちょっと違うモノを選んだりすることがあるかもしれない。

つまり株主優待券は決して現金や金券とは違う特殊なモノだ。

だが、それでも配当金がわずかしか出ない時に、その何倍もの額面の優待券が貰えるのであれば、十分に価値がある。近くに使えるお店があり、優待券がなくとも普段から利用している店であれば期限についてもそれほど気にすることはない。利回りで下駄を履かして貰っているのだから、多少額面より少なかろうと気にしなければいい。いやプラス現金を出すからのであれば、株主優待券の額面分値引きされているのだから、額面にそろえようという無駄な努力をしなければいいだけなのだ。無理に使わないお店の優待券を貰うからへんに迷ってしまう。上記の欠点を知った上で投資すれば問題ない。

さらに自分の場合には、引きこもり体質なせいもあって株主優待券のこの欠点に助けられている。

欲しくないわけではないけど、なくても困らないよなあと思い、ぐずぐずと出かけない自分でも、株主優待券があるから行かなければならない。そうやって出かけるきっかけになっているし。迷っている自分の背中を押してくれる。使わなければ無駄になるんだから、少々失敗してもいいやと冒険できる。株主優待券に有効期限があるせいで、この日までに行かなければと、ついつい出不精になる自分を今行動しなければいけないという言い訳になってくれる。一番安いのでいいやという自分に、もうちょっといい物を、もう一品追加しようと応援してくれる。自分の性格ゆえに、株主優待券のマイナス面がプラス面に変わることもある。自分には決してマイナスになっていない。

たまになんでこれ貰ったんだろうという失敗もあるのだが、次回には対象からはずせばいいだけ。長い人生失敗することもあるさ。くよくよ悔やむのは止めようと思う。

加えて期限までに優待券を消費しなければならないので、飲食店なども優待券を持っているお店を優先しがちになる。優待券があると、なかなか新しいお店とか個人店などに行く機会が減ってしまう。旅行先でもチェーン店で入るのはマイナスだと感じる人もいるだろう。が、地元にないお店で株主優待券を使うために、そのお店のある地域へ出かけるという人もなかにはいたりする。マイナスと思う人なら、無理して使わなくてもいいし、プラスに感じる人はどんどん株主優待を取得して使っていけばいいと思うよ。