先日、ひろぎんホールディングスの株主優待制度改悪発表には自分を含め多くの人がショックを受けた。お得感があり、この株主優待制度がある限り永久保有くらいの気持ちを持っていたのでショックはひとしお。株主優待制度の導入と同時に飛びつき、優待を貰ってまたまた大喜びをした。それほどお得なんだから、そうそう長続きをする分けはなかった。

ということでもう一度、改悪されにくい優待、廃止されにくい優待とは何かを考え直し、今後の対応に生かしたいと思う。

□廃止されにくい条件


・調達コストが安い
・優待を利用する=企業の売上に貢献する



□廃止されにくい優待


(1) 自社サービス利用権

自社の提供するサービスの場合に、商品提供コストが非常に安いため継続可能性が高い。とくに固定費の割合が大きいサービス、例えばホテル・映画館や航空機のように1回のサービスの販売可能な席数が決まっていて満席にならないことが多い場合には、「空気を運ぶ」のと人を入れても運営コストがほとんど増加しないため、優待提供のコストが非常に低い。航空機であれば機内食や重さが増えたことで追加燃料が必要だが人間一人分は非常に少ない追加で済む。この種の優待は継続される可能性が非常に高い。

企業側からするとサービスを利用することで、自社のことを知って貰いさらに買い増しや、有料顧客となって今後継続的に利用して貰う目的もある。広告宣伝費と考えれば

ただし、[4661]オリエンタルランドのTDRは常時満員に近い状態で営業しているため、優待券利用者がいなければ、追加で一般販売できる可能性が高いので利益を減らして提供している可能性がある。またコロナ禍で演劇の入場者数を絞っている[9601]松竹では株主優待での入場を行うと、販売可能席数が減ってしまうため売上を下げてしまうとして現在は演劇の優待を停止している。

同じ映画でも興行会社=配給会社ではないことが多いので、無償招待の観客比率が高いと海外配給会社から改善要求が出ていると言っていた企業もあったので万全ではない。また、自社サービスであっても、常時利用率が高い場合や変動費の割合が高い場合には廃止可能性が低いとは言えないかもしれない。


(2) 自社商品

消費者向け商品を製造・販売している企業で、その商品自体を株主優待品として提供する場合。自社サービスに近いが、製造原価がかかっているので1個1個の商品の変動費が高くある程度コストがかかる。だが、他社から商品を調達して現金の流出を伴う場合の数分の一にすぎない。原価率が低い化粧品などの場合には調達コスト<商品価格なので企業の負担に比べて株主が受け取る価値が高い。

[4927]ポーラ・オルビスホールディングス、[4912] ライオンや[2573]北海道コカ・コーラボトリング、[3863]日本製紙などの企業があげられる。自社商品のファンを増やす効果も期待できる。

しかしながら、こちらも万全とは言えない。ここ数年の輸送コストの上昇で特に価格に比べて重量の重いモノ、容積のかさばるものなどを中心に優待の廃止ないし回数の減少(年2回→年1回)、継続保有期間の制限追加など。[2590]ダイドーグループホールディングスがまさにそれ。

全国に店舗を持つ[9989]サンドラッグは、商品の発送をやめて店舗で受け取れるようにして、その代わり商品選択の自由度を増やしている。消費者との窓口を持たないメーカーには使えない手だ。

(3) 自社割引券・買い物券

飲食店なスーパーマーケットなどの小売企業で、自社の店舗で使用できる買い物券。普段から一般顧客にクーポンなどを配布して店舗の利用を促すのと同じ。自社の店舗での買い物に利用されるので、発行金額よりも大きな買い物がされれば自社の売り上げとなるので会社にもメリットがある。継続性が高いと期待できる。

[9887]松屋フーズホールディングスや[2702]日本マクドナルドホールディングスの優待券の場合、1円の追加支払いなしで利用されてしまうので店舗売り上げへの貢献度は低い。[3197]すかいらーくホールディングスなど額面が決まっていて、その額面の支払いに使える場合にはプラスアルファの支払いが期待できる。株主優待券がきっかけで店舗を利用することでリピーターとなって、以後店舗売り上げに貢献することも期待。

[7512]イオン北海道などの優待券は1,000円の利用で100円の割引きとなる。割引きクーポンと同じ。多少利益が減るが店舗売り上げに貢献しており企業が負担するコストは低い。

最初のタイプは企業業績が悪化すると改悪や廃止の恐れがあるが、最後のタイプはそのリスクが低い。

(4) 抽選

対象株主から抽選で○名を何々に招待とか何々を贈呈というタイプ。株主優待として自分はカウントしてないのだが、このタイプは株主数がどれだけ増えても費用は固定で変わらないので廃止されにくい。

注)なお、あくまでも廃止・改悪されにくいというだけで、業績や企業の考え方の変化によっては廃止・改悪されることもあり得る。


□廃止リスクの高い優待


・金券

額面 + 発行手数料分の現金が流出するので優待コストが高い。優待コストが外部から見えやすいので、コストが課題かどうか判断できるかもしれない。そのコストに見合った効果(株主数など)があるのなら継続が期待できるだろう。

・カタログギフト

商品価格 + システム利用料の現金が流出する。当然送料分もかかっているので、株主が実際に受け取る価値より、かなり過大なコストがかかっていると考えられる。企業に余裕がある場合には、株主還元としてコストには目をつぶってくれるだろう。

・他社商品

お米に代表されるように他社から調達した商品を株主優待品として提供している場合には、優待費用はすべて持ち出しなので、やはり改廃リスクがある。

・優待利回りが高い

優待利回りは、株価によって変わるので会社側のコストには直接関係が無い。それでも、株価に比べて余りに優待品がいいものであれば、株主優待目的で株を購入する人が増えて株主数が増加する。すると、それに比例して優待費用が発生するので会社側の負担が増えてしまう。結果として改悪リスクが高まる。