株主総会で議案への議決権行使をするにあたって、どういう方針で賛否を決めているかを議案別に記述する。


今回は「当社株式等の大規模買付行為等に関する対応策(買収防衛策)の導入の件」まはた「…継続の件」。


□議案の内容


所謂敵対的TOBを仕掛けられた場合に、それに対処する方策を定めたもの。一般的な買収防衛策としてよく導入されているのは、「事前警告型防衛策」で、ポイズンピルと呼ばれるものが多いように見える。TOBしようとする者に対して、買収後の経営プランを提示させて第三者委員会によってそのプランを検討し、現在の企業理念・従業員や取引先にとってマイナスでは泣く企業価値を工場させると認められない場合、既存株主に対して新株予約権を付与して結果的に買収者の持ち株比率を下げる手続き。別名ライツプランと呼ばれる。



敵対的買収は21世紀初めに村上ファンドや当時のライブドア社によるものなど多くの敵対的買収が報道されるなど、それまで企業間の株式持ち合いに守られていた企業や保有資産の有効活用をしていなかった企業などが海外のファンドなどに狙われるケースがあったため、防衛策の導入が急速に進んだ。


□対応方針


原則として反対

これまで報道された買収防衛策の発動事案は、買収されそうになった企業の役員の保身のためのものしかなく株主の利益に反する。過剰な防衛策は株主権の制限になるため、ないほうが望ましい。裁量の買収防衛策は株価を高く維持すること。企業の本来の価値に比べて割安に放置されているため現在の株価以上の価格で株を買い占めても利益がでる状態にあることが買収者に狙われる原因。企業業績を上げ、そのことが投資家に認知され株価が高くなれば買収者に狙われることはない。つまり、買収防衛策が必要なのは企業経営者の怠慢に他ならない。

ただし、2010年代はじめまでは賛成していた。上記が原則とは言え、20世紀の日本企業は買収に対して無防備だった。保有資産は簿価で評価されるため不動産などを活用せず漫然と放置していることも多い。銀行を始め取引先同士で株式を持ち合うことで仕事を融通し合い、資金の借り入れを円滑に行い、安定的に業績を維持することが日本企業や社会にとってメリットがあると信じられている時代が長く続いた。それをいきなりROE経営だ、資産を時価評価しろ、有効活用しろと言っても簡単に実現できるものではない。銀行なども製作保有株を段階的に減らしており、そんななかで株価向上策を実施して実際に株価を高めるにしてもスグに結果がでるわけではない。その間に敵対的買収により資産や事業を切り売りされて企業が解体されるようなことは日本社会にとって好ましいこととは思えない。

であれば、緊急避難として買収防衛策を事前に準備しておくことは決してマイナスではない。なので、当初は買収防衛策の導入やその延長に賛成してきた

が、既に2023年。10年以上の防衛策で守られながらも、未だに株価を安いままに放置して漫然と防衛策による保護が必要というのは甘えすぎ。そろそろ株価を高くするという本来の防衛策を身乗らせて貰わないと困る。

敵対的買収とは決して企業に敵対しているわけではない。経営者の同意を得ていないというだけだ。企業の資産を切り売りするだけの目的であれば困るが、現在の株主よりも優れた経営策をもっており企業価値を高めることができるというのであれば、経営者には敵対しているかもしれないが、株主や従業員、取引先にとっては見方という可能性もある。

保有資産の切り売りをして企業業績の悪化を誤魔化す経営者が日本には存在していることをここ数年現実の事例で見ていると、買収されないほうがいいとは思えなうなっている。

さらに第三者委員会も実質的にほとんどのメンバーが社外取締役で、現在の経営者によって採用された人たち。株主寄りの判断をするのか、経営者寄りの判断をするのか、本当に"第三者"と言えるのか疑念がある。