経済学者のケインズは「株式投資は美人投票のようなもの」と言ったとか言わなかったとか。株の売買を投票する、あるいは反対票を入れるという投票行動に例え、沢山得票した銘柄の株価が上がり、そうでなければ下がるという結果に現れると表現したもの。そして投票した人が多ければ、その銘柄に投票した人が利益を得る仕組み。本当に美人なのかどうかという評価ではなく、また投票者が本当に美人だと思う人に投票するのでもなく、より多くの票を獲得する人に自分も投票する、他の人が投票するであろう人に投票する。勝ち馬に乗る行動が必要なのだという。
株価の上昇によって利益を得るキャピタルゲイン目的の投資では、その例えは真理をついているように思う。が、自分のようにインカムゲインを目的とする投資、特に株主優待のようなものを目的にしている場合には、イマイチしっくり来ない。
最近「株式投資は推し活」だという考えを思い付き、なんだかシックリ来た。
推し活というのは、アイドルやVtuberなど自分が好きだと思う人を応援することにお金や時間を使う活動。特に最近流行の生配信などで投げ銭をする行為がピッタリくるように思う。
他の誰かが応援しているのかとか、大勢の人から支持されているということとは関係なく、自分がイイと思った対象に対して投げ銭を投げる。すると投げ銭を投げられた相手は時々「○○さん、ありがとう」とお礼を返してくれる。推し活の見返りは、お礼の言葉。投げたお金に対する割合は小さいけど嬉しい。
株主優待投資では、自分がイイと思った銘柄に投資資金を投入する。すると、時々(年に1回とか2回)、「いつも応援してくれてありがとう」とお礼の品物を送ってくれる。見返りは良くて数%。でも、貰ったこちらとしてはとても嬉しい。他の人がその銘柄をイイと思うか、株価が上がるかどうかは関係ない。そして自分の限られた資金の中から、応援する対象に投資資金を割り当てたら、(長期保有優遇分を貰うためなどで)資金は投入しっぱなしで返ってこない。
推し活と違うのは、推しへの応援する気持ちがなくなったら(優待改悪など)投げたお金を回収できること。その時に増えていたら嬉しいし減っていたら悲しいけど、回収した資金をまた新しい推しに投げられる。
自分の気持ちとして限られた資金の中から、こちらに投げ銭したら、あちらの子には投げられない。どっちを推すべきか悩んでいる時に、あれこれって今流行の推し活なのでは?と感じて、ちょっといい考え方だと思ったのだが。果たして他の人もそう思うかどうかは不明。
これからも毎月のように、こっちの子がいいか、それともあっちの子にすべきか。悩む日々は続きそうだ。