『投資のまちがい』(ジョン太郎)を読みました。


投資に関連して語られている常識の多くが間違っているという話。誤解に基づいて大事なお金を減らしてしまっては大変なのでこの本は初心者にオススメ


私の投資経験もいつのまにか10年を超えました。その中で何度も失敗して結果自分でもある程度の投資商品の判別ができるようになってきました。その過程で自分の中でぼんやり感じて、投資情報の取捨選択をしている方法の多くがこの本の中で語られていて共感することしきり。

この本の半分くらいは私の考えと同じで、それをきちんと体系立てて語りしかも論拠をわかりやすい数字を使った例でまとめてくれています。残りの半分くらいは自分では考えたことがなかったことが多いので多分信頼して読んでいいはず。

ただ何点かはちょっとどうかなあと疑問に思うモノも。「不動産投資」についてはなんだか論拠が薄い表面的な気がした。「債権」についても根拠となる数字の掘り下げが浅くわかりにくい。「決算書と会社」についてはなんだかすごい浅い内容でページ稼ぎのようにすら感じた。まあ間違ったことが書いてあるとは思わないが、「簿記は一般人には理解することが難しい」は常識じゃないだろうと思うし。

本ブログの主題である株主優待についても「株主優待目的で買って会社がつぶれたら意味はない」ということにしか言及されていなくて、特殊な例を挙げてそれが全体像のように語っているとしか見えなかった。株主優待を出さずにつぶれる会社だって沢山ある。ちょっとこの書き方だと参考にはならない。

逆に「投資信託」の話は詳細だし具体的だ。色々な経験を経て私は今年保有していた全銘柄を売却したのでとても共感できる。「投資」「株」「為替」についても信頼感を持って読めた。

例えば、投資信託の分配金については解約と同じなので分配金が多いからいいというのは間違いだ。というのは投資信託をある程度やっている人は分かっているが、だから毎月分配金を出すのは悪だというのもまた同じように間違っていると示している。あくまでも解約なのでじゃあ解約をすることは悪なのかという論理。解約したければしたいだけ解約すればいい。ただ現在は解約したくない=無分配ファンドはほとんどないので本当はそれがあればいいのだろう。年金受給世代が、例えば毎月50円づつ自動解約するとか選択できる自由度があればなおいいんだろうなあ。※この段落後半は本には記述していない私が本を読んで勝手に思った内容。

また、基準価格についても今5千円のファンドと2万円のファンドのどちらが将来性があるかを基準価格だけで比較することが無意味であることもわかる。

最近は銀行や郵便局でも投資信託を進められるようだ。この本を読んでいれば投資信託の勧誘を受けたときに、営業員が語るセールストークの多くが間違えた常識を踏まえたモノであることがわかり本来買いたいものではない商品を購入することはなくなるのではないかと思う。

著者のジョン太郎さんは外資系金融会社勤務でブログもやっています。が、ブログをのぞきにいったら今年に入ってからの記事は数件。それ以前も月に数件程度で年に20〜30件程度しか書いていませんでした。ブログで発信してきた記事を本にまとめたのではなく、全然別に出版したようですね。


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目次

第1章 「投資」のまちがい
第2章 「投資信託」のまちがい
第3章 「為替」のまちがい
第4章 「株」のまちがい
第5章 「債券」「経済政策」のまちがい
第6章 「不動産投資」のまちがい
第7章 「決算書と会社」のまちがい
第8章 「お金」のまちがい



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