2020/2/15日経平均株価が1990年8月3日以来30年6カ月ぶりに3万円台を回復し話題になっている。

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企業業績の回復期待に加え、世界的にワクチン接種がはじまり今後の経済回復が期待できるということでの上昇のようだ。が、あくまでもコロナショックにより経済や業績が悪化した時点に比べての改善であり、1年前のコロナ前の時点と比べた場合には多くの業種でかなり悪い状態にあるはず。世界的な金融緩和や各国の財政出動により金余りの状態にあり、米国株式市場も史上最高値。

30年前の3万円台は、1989/12/29に終値として史上最高値38,915.87円(場中では38,957.44円が最高値)をつけたあとの下落相場である。バブル後最高値まで上昇しているが経済状況を見ると、まだまだこれから。現状はバブルの様相を呈しているとしか思えない。

とは言え、どこまで上がるか分からない。下がったときと同様に、このまま付き合うしか手はない。市場を中止し、警戒しつつも投資を継続していく。

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※マネックス証券の日経平均株価。30年前までしか表示しないので、前回の3万円台はこの数ヶ月前。


■日経平均株価とは


さてその日経平均株価とはどういうものなのか再確認しておきたい。

日本経済新聞社が策定した指数で、1950/9/7から計算開始。東証一部上場銘柄から日本経済新聞社が選定した225社の株価を単純平均したもの。

「225銘柄の合計株価 ÷ 225」(除数:225)

その後、株式の分割や銘柄入れ替え時の銘柄ごとの株式額面の違いなどにより除数が調整されており、現在は27.765になっている。

もうひとつ調整があり、かつては銘柄ごとに1株ごとの額面を定めた株式額面というものがあり、1株50円額面を基準として、500円額面の株は10分の1にするなど調整をするみなし額面の調整を行う(掛け目)。

結果として現在は、日経平均株価採用銘柄の株価 ÷( 50円 ÷ みなし額面 ) = 採用株価 とした場合に、この「採用株価を225銘柄分の合計 ÷ 除数」で求める。

採用されている銘柄、各銘柄の掛け目、そして除数は日本経済新聞社のホームページで閲覧可能。

日経平均株価は、公開されている情報だけを使って誰でもが単純な足し算と割り算だけで簡単に計算可能ということから広く利用されている。

ただし問題点もあり、銘柄ごとの株価の違いや掛け目の違いにより1銘柄ごとの指数への寄与度に違いが出る。銘柄の日経平均株価への影響度(ウエイト)を上記日本経済新聞社のサイトから一部を抜き出すと以下のようになる。

・上位10社
コード社名ウエート
9983ファーストリテイリング11.69%
9984ソフトバンクグループ6.33%
8035東京エレクトロン5.18%
6954ファナック3.56%
6367ダイキン工業2.88%
2413エムスリー2.75%
9433KDDI2.40%
4063信越化学工業2.37%
6762TDK2.20%
6857アドバンテスト2.16%


・下位10社
コード社名ウエート
5411ジェイエフイーホールディングス0.0118%
5406神戸製鋼所0.0063%
5202日本板硝子0.0061%
9412スカパーJSATホールディングス0.0060%
7003三井E&Sホールディングス0.0052%
9501東京電力ホールディングス0.0052%
3103ユニチカ0.0050%
8308りそなホールディングス0.0047%
2768双日0.0032%
7211三菱自動車工業0.0031%


とファーストリテイリングは三菱自動車工業の約3,772倍も影響しやすい。上位4銘柄で約26%、上位15社で約5割、上位54社で約8割にもなり、上位90社で9割を超える。残り135社で1割しか影響しない。

このため、ほとんど上位銘柄だけで平均株価が決まってしまい、市場全体を示しているとは言えないという批判もある。

2021/2/19終値は、30,017.92円。

■TOPIX


TOPIX(Tokyo Stock Price Index)は、東証一部上場銘柄すべての銘柄を対象にし、市場で取引される時価総額の大きさで寄与度が変わるように設計されているため、より市場の実態を示していると言える。が、株式を追加発行したり、自社株買いを実施するたびに指数へのウエイトが変わり、日日細かな調整が必要になる。それらの数字もリアルタイムで公開されるわけではないので、一般の人が簡単に計算することはできない。日本取引所グループ(JPX)が算出している。

TOPIXは、1968年(昭和43年)1月4日の時価総額(当初数値は8兆6020億5695万1154円)を100としている。

とはいえ、時価総額の大きな銘柄の影響を受けやすいので、日経平均株価とは違い三菱UFJフィナンシャルグループなどメガバンク株などの寄与度が高くなりやすい。

1989年からの株価推移は以下のようになっており、1989/12/18の2,884.80が最高値。こちらは日経平均株価ほど上昇しているようには見えない。日経平均株価採用の一部の銘柄が上昇しているだけで、市場全体はそこまで強く上昇しているわけではないと見える。
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・ウエイト上位10銘柄
銘柄名コードTOPIXに占める個別銘柄のウェイト
トヨタ自72033.5514%
ソニー67582.5772%
ソフトバンクグループ99842.5096%
キーエンス68612.1022%
任天堂79741.6147%
NTT94321.3880%
武田薬45021.2497%
日本電産65941.2496%
三菱UFJ83061.2309%
第一三共45681.2139%


・ウエイト下位10銘柄
銘柄名コードTOPIXに占める個別銘柄のウェイト
アイケイ27220.0000%
SREHD29800.0000%
GMOペパボ36330.0000%
ODK38390.0000%
CAP39650.0000%
恵和42510.0000%
ips43900.0000%
ギフティ44490.0000%
ベース44810.0000%
新日本製薬49310.0000%

2021/2/19終値は、1,928.95円。

■NT倍率


日経平均株価とTOPIXの乖離を示すものとしてNT倍率というものがある。これはN(日経平均株価)をT(TOPIX)で割っただけの物で、2021/2/18終値では15.56。過去30年の推移を見るとこのようになっており、コロナショック後の株価回復局面で特に日経平均株価だけが上昇しているのが見て取れる。
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1年前の2020/2/20は、12.44であったので日経平均株価3万円でNT倍率が同じであればTOPIXは2413ポイント程度になっている計算。逆にTOPIXを基準に同じNT倍率で日経平均株価を計算すると23,966円。昨年の投資成績が日経平均に大きく負けてしまったのは、日経平均株価構成銘柄の一部だけが上がっていたせいであって、幅広く分散投資している自分のポートフォリオがそれに劣るのは仕方ないですね。という言い訳のためにこの記事を書いたのではないと言っておく。なので、投資成績とTOPIXを比較するのも止めておきます。


日銀が買い入れているETFが日経平均株価連動型のETFを買っているからだという話も聞くのだが本当のところどうなのだろうか。