12月権利の優待到着ラッシュが始まっているが、このあと1月の谷間があるのでしばらくは到着記事以外のまとめ記事、株知識記事、自分の投資スタイル(投資メンタル)に関する記事などを、ちょこちょこ挟み込んでいく予定。
会社法では配当金に関して以下のような内容を規定している。
・回数・時期 …… 配当金を出す基準内かつ適切な手続きをとれば、何回でもいつでもOK。
・種類 …… 金銭以外でもOKだが、金銭以外の場合には株主総会の特別決議が必要。
・決定機関 …… 原則として株主総会の決議によるが、会計監査人設置会社で取締役任期が1年以内など一定の基準を満たせば、取締役会で決められる。
・上限 …… 下記により定まる額を上回ることができない。
(1) 純資産額が300万円を下回る場合には、剰余金があってもこれを株主に分配することは出来ない。
(2) 利益準備金は、資本準備金の額とあわせて資本金の4分の1に達するまで、剰余金の配当により減少する剰余金の額(配当金として支払う額)の10分の1を積み立てる必要がある。
(3) 貸借対照表の資本の部のうちは、決算日時点の剰余金(その他資本剰余金の額+その他利益剰余金の額)から、分配時まで調整額(自己株式の処分、のれん調整額等)を引いた額。
決算期が3月末日とすると、6月末日までに開催される株主総会で剰余金処分案が可決され、3月末日時点の株主に対して期末配当金を支払うのがよくあるパターン。剰余金処分案では例えば以下のようになります。
第○号議案 剰余金の処分の件当社は株主の皆様への利益還元を経営上の最重要課題のひとつと考え、安定配当の維持を基本としながら、今後の事業展開等を勘案して以下のとおり期末配当及びその他の剰余金の処分をさせて頂きたいと存じます。1 期末配当に関する事項① 配当財産の種類:金銭と致します。② 配当財産の割当てに関する事項及びその総額:当社普通株式1株につき金○○円と致したいと存じます。③剰余金の配当が効力を生じる日:令和○年○月○日と致したいと存じます。2 その他の剰余金の処分に関する事項① 減少する剰余金の項目とその額:繰越利益剰余金 ○○○○円② 増加する剰余金の項目とその額:別途積立金 ○○○○円
配当の種類をわざわざ金銭と書くのは、それ以外の例えばPayPayで支払いますとか、自社製品で払いますとかでも可能なので、金銭と明記します。
最近は株主総会で、期末配当金に関する事項を決議せず取締役会決議で支払う場合が増えている。これは特定の条件を満たした場合のみ可能で、それが①会計監査人設置会社かつ②取締役の任期が1年以内、そして③監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社であることの3つを満たす場合である。上場企業であれば①は満たしている。取締役の任期は2年が多いが徐々に1年の企業も増えていて2018年で監査役会設置会社の60%超になっている。③を満たす企業も上場企業の3分の1まで増えている(③を満たす企業では自動的に取締役の任期は1年)。
また、期末配当金以外に中間配当金を支出する企業も多い。が、それ以外の任意の時点で配当金を支出することも可能で、理論上は毎月分配しても構わない。そのためには計算書を作成しなければならないし、株式名簿も作成しなければならず事務コストがかかるので年2回より多くの配当を出している企業は少ない。が、四半期ごとに配当金を出す企業は少数ながら存在する。[7267]ホンダ、[8304]あおぞら銀行、[7177]GMOフィナンシャルホールディングス、[9449]GMOインターネットなど。