2024/2/1に[8304]あおぞら銀行が業績予測の下方修正と3Q配当金を無配とすることを発表した(PDF)。あおぞら銀行はこの発表前時点では6%以上の配当利回りがあったはずで、高配当利回りを好む個人投資家の中には保有している人もいるのではないかと思う。かくいう私も2枚保有していた。あおぞら銀行は高配当利回りのほかに年4回の四半期配当を実施しており年間の配当金収入を安定化させてくれる点でもよい銘柄だった。だが、2/1の発表後2営業日連続のストップ安。2/1 9時の開示だったので初日に知っていればまだ株価の高いところで逃げることも可能だったが、翌日はS安比例配分。三日目でようやくストップ安にはならなかった。その後は発表前日の終値からはおよそ1,100円ほど低い位置で推移しており約3割も下げたことになる。

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□業績予測の下方修正理由


今回の下方修正の理由として発表に書かれているのは以下の二点。

① 米国オフィス向け不動産ノンリコースローンへの追加引当
② 有価証券ポートフォリオの再構築の加速

一つ目は米国で金利上昇やCOVID-19による在宅勤務が進み不動産市況が悪化、それにより今後物件売却による債権回収が困難になると予測されるため損失引当金の積み増しを行うというもの。実際に損失が発生したわけではなく会計上の損失が増えただけなので、もしかして順調に返済されたり、返済が滞っても売却により損失が出ないこともあり得るが今期に関しては損失額が増加となった。

二つ目は米国での金利上昇による債券価格の下落があり含み損が膨らんできたため、一部損失を確定して柔軟な投資を行うための資金とするというもの。こちらは確定損。

この結果として、2024 年3月末の連結自己資本比率(国内基準)は 8.8%程度、CET1 比率は 6.6%程度と見込む。目標水準である 9%、7%を一時的に下回ることとなり、配当金により現金が社外流出させるよりも自己資本の充実をすべきという判断になり、2024年3月期の3Q配当・期末配当金を無配とすることになった。1Q・2Qは各38円で実施済みなので今期の配当は76円。前期実績で154円なので半減となってしまった。

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□私の対応


あおぞら銀行は旧・日本債券信用銀行が破綻後に紆余曲折あって外資系ファンドが入って事業再生し一旦市場から退場後に再上場した普通銀行。[9449]GMOインターネットグループと資本・業務提携している。その成り立ちもあって他の普通銀行に比べて積極的な投資姿勢があり、それゆえに高いリターンを獲得できるのだと思っていた。地方銀行などは国債や不動産融資、地方の中小企業向けの小規模な融資が主体で安定していても大きな利益を期待できないし、最近力を入れている投資信託の販売手数料だって大きなものにはなっていない。あおぞら銀行には攻めの投融資でハイリスク・ハイリターンを狙って欲しいし、それを実現できる能力があると思っていた。

だからこういう損失が出るのはやむを得ない面はある。その分、しっかりウミを出し切って来期以降の利益は確保してくれるのではないかとは思う。超長期で投資している人は仮に来期無理でもいずれまた高利益体質を取り戻すと信じて、こういう場面でも追加購入などしているかもしれない。が、自分は高配当株として購入しているので、直近での配当金が出ないのであれば保有を継続する理由がなくなってしまう。ということで保有株は全て売却済み。

□安全な高配当株


さて40万円ほどの資金が出来たので代わりの高配当株を買わねばなりません。6%とはいかなくてもある程度の配当金を確保しないと今年の受取配当金が昨年より下がってしまうかもしれない。では、どういう株を買えばいいのか。

まず高配当というとJ-REITが真っ先に思い浮かぶが、昨年来金利先高観があり投資口価格は下落を続けている。1月は持ち堪えていたが、2月に入って下落し始めてきているようだ。

同じ銀行株は金利上昇により恩恵を受ける銘柄だが、昨年来株価は上昇傾向にある。優待のある[8308]りそなホールディングスは2.75%、不祥事続きで他社に比べて割安感のある[8411]みずほフィナンシャルグループでも3.76%。[8316]三井住友フィナンシャルグループは3.57%を高配当だが、75万円程度必要で資金が足りない。ここは分割しないのだろうか。[8309]三井住友トラスト・ホールディングスは3.85%あるのだが、他のメガバンクと異なり信託銀行が中心なのだが、信託銀行業務が金利の影響をどの程度受けるのかよくわからない。地方銀行は昨年かなり株価が上がっており配当利回りが高い銘柄は少ない。

業績下方修正で配当が急減するような銘柄はできれば避けたいが、昭和の安定高配当株の電力・ガスは高配当利回りとは言いにくいし東電のように何があるかわからない。[9513]J-POWERの3.65%がいい利回りか。

リースや保険も高配当ではあるが金利上昇は不利なのではないだろうか。化学や石油なども高配当ではあるが景気動向に左右される。商社もバフェット以後は買われて高配当株といえるのは[8020] 兼松の3.80%、[2768]双日の3.63%か。だが商社もリスクが高い。

ディフェンシブと言われるのは、大手の薬品メーカーや食品メーカー。[4502]武田薬品工業は4.41%。[2282]日本ハムは優待もあるが52万円必要。食品メーカーの大型株で高配当はなかなか見当たらない。

高配当だが業績が安定的で減配や無配になるリスクが低い銘柄選びは難しい

現時点で代替候補はJ-POWER、兼松、双日、(優待込みで)りそな、三井住友トラスト。だが、もしかしたら3月優待銘柄に資金が行ってしまう可能性もある。