清原 達郎 (著)
著名投資家の一人。投資顧問会社で圧倒的なパフォーマンスを記録し、最後に公表された長者番付で1位となりファンドマネージャーという職業が注目を浴びるきっかけにもなった伝説の人物。
その投資手法の解説とファンドでどういう取引をしてきたのかの実態が生々しい。
中小型割安成長株を得意としている。というか、勝つためにそこを選んだという。大型株は大勢の市場参加者がおり大勢の投資家が情報分析をしているため、なかなか独自の情報で勝つことは難しい。一方中小型株は個々の銘柄を深く分析している人が少ないので、自分が一番詳しくなることも可能。だが自分が買うことで株価を動かしてしまう可能性もあり投資資金が大きくなるに従って、投資しづらくなるので彼のタワーK1ファンドでも資金量が多くなると投資対象が限られてきて難しかったようだ。その分、資金量が相対的に少ない個人投資家向きの対象ではないかと考えられる。
分散投資についても成長株を見つけるという観点では多数の銘柄に分散することは不利だとしている。市場の中には成長株は一部でしかなく、成長株に見えるが真の成長株ではないものも混じっている。多数の銘柄に分散すると最初は真の成長株を多数購入できても限られた成長株を見つけるのは難しくなり、結局多数の偽成長株を購入してしまうことになる。成長株投資という観点からは分散投資よりも集中投資のほうが効率的。
割安成長株を見つけるために世界情勢や経済情勢から成長分野を選び、その業界に絞って調査。さらに選択した有望銘柄のみを集中的に銘柄分析。多くの銘柄に分散しようとすると、さらにその何倍も調査分析しなければならないのだから限られた時間しかない個人投資家には難しいだろう。中には井村さんのように全銘柄の決算短信を読むという神技を実行できる人もいるだろうが、普通の人にはなかなか真似できない。
著者の場合、圧倒的なパフォーマンスを記録している。が、その中には大失敗したトレードもあり、それも赤裸々に述べている。将来こうなるだろうという予測は出来ても、いつそうなるかは中々的中させるのが難しいことがよくわかる。ショートすべきでない銘柄選択とか色々勉強になる。また成功トレードと思っても、利益確定後にさらに何倍にも上昇して儲け損ねることもしばしば。
なお上記リンクはAmazonのものだが、自分は[9418]U-NEXT HOLDINGSの株主優待を使いU-NEXTで電子書籍を購入した。