大塚泰子 (著)


近年日本でも増加傾向にある女性取締役。だが、内部昇格や外部から経営陣の一員として招き入れる例は少なく、実際は社外取締役として招聘される例が多い。上場企業のうち女性社外取締役がどれくらいいるのか?どういう能力を買われているのか、何年くらいやるのか、女性社外取締役はどう思っているのか、やりにくさはないのか。実態を統計やアンケート調査、聞き取り調査などを経て現実的な問題を示す。

これらは議決権行使をする株主の立場から、知っておいて損のない内容だと思い手に取った。



起用されるのは弁護士、公認会計士、税理士などの専門職と少数の大学教授や元公務員。外部からのゲストのような扱いで、女性を何割にした、社外取締役を何割にしたという数合わせとしけ期待されていないと感じて実力を発揮できないもどかしさを感じている人もいるようだ。一方で、大企業の役員という肩書きを手に入れ何社も兼任したり渡り歩いたりして自分自身の箔を付けることを重視しているような人もいるようで、本来の株主の代理として経営陣を監視する役割を果たさず、果たそうともしていないこともあるようだ。


2部は女性に限らず企業経営者に求められる知識として企業戦略、財務/会計、人材マネジメント、社外コミュニケーションの一般論を教科書的に概説し、追加で各章に言い訳程度の「社外取締役に求められる」役割が列挙。具体的な行動指針がない。単独で乗り込んだ社外の人間が、突然に「こういう企業戦略を立案しましょう」と主張したり、「こういう財務諸表を提出してください」とか主張できるのだろうか?どいうタイミングでどういう対話を誰として、どういう流れで関与していくのかという具体的手法を書いた方が良かったのではないだろうか?財務とか企業経営とかの一般論は多くの書籍が存在しているのだから一般論は他書に任せて、社外取締役がどういう行動をすればいいのかを書いてほしかった。

もっとも自分は社外取締役になる予定もないから、具体的なガイドをもらっても行動には移せないのだけど。それゆえ、株主として社外取締役が具体的にどういう行動をしているのか、日々どういう仕事をしているのかを教えてほしかった。著者たちが実際の社外取締役経験があったとしても、それをそのまま出版することは無理なんだろうとは理解できるので、実際の経験者のアンケート取材などを通じて得た内容を匿名の形で掲載することは出来たのではないかと思う。一言コメントみたいな内容しか得られないのは残念。


良くも悪くもコンサルタントの作成した資料。