日本ではUber Eatsが最も有名だが、Uber Cabとして個人ライドシェアを事業化したのが最初。その創業者トラビス・カラニックのバイタリティ溢れる起業家としての浮き沈みを描く。

ユニコーン企業の創業者は個性的だ。卓越したビジョン、人並外れたバイタリティ、先行きが見えずビジネスそのものが世界に通用するかどうか分からないスタートアップ企業に資金を集め、優秀な人材を集めて猛進撃するのに付き従わせるカリスマ性や話術は、その人物そのものがドラマになる。ことにIT時代の西海岸にはそういう人物が多い。アップル社のスティーブ・ジョブズ、フェイスブック(現メタ)の マーク・ザッカーバーグ、WeWork社のアダム・ニューマンなど、ドラマや映画の主人公として傑出した人生を歩んでいる。他にも一代で世界を変えるサービスを生み出して巨万の富を生み出した人物は大勢いる。

本ドラマでは少なくとも主要登場人物は実名で登場し、企業拡大時に何をしてきたのか、どういう手段(不当な行為を含む)で障害を乗り越えて来たかを1話50分程度の全7話で描く。



トラビス・カラニックは配車サービスを従来の専門業社ではなく個人が持っている自家用車を一時的に乗客を運ぶサービスとして画期的なビジネスモデルを立ち上げて、たった10年程度の期間で全米だけでなく世界的規模に広げたユニコーン企業の代表と言える。が、一方でビジネスの拡大のため違法行為、プライバシー無視、事故や乗客運転手による事件の隠蔽などを行い、ライバル社に対する違法な妨害行為、自社社員へのハラスメントなど悪行も多かった。

ドラマはサンフランシスコでの事業が軌道に乗った頃から始まる。最初の問題は市交通局との争い。運転手が自家用車を使ってサービスを提供するので、タクシー事業者に求められる設備、保険などを備えていなかったため。この問題を皮切りにライバル社との競合、アップル社のアプリ配信規約違反、社内のセクハラ、NYでのタクシードライバーのストライキなど次々と問題に立ち向かい乗り越えていく。が、その過程で多くの別の問題を引き起こし、少しづつ破滅への階段も登っていく過程が描かれる。

トラビス・カラニックの圧倒的パワーで問題解決をし、ビジネスは拡大し続け、企業価値はどんどん上がっていくが、ブラック企業っぷりは目に余るものがあるが、単なる現実歪曲空間による投資家の獲得だけではなく、その過程で彼の幼稚な性格ゆえに目の前の問題は乗り越えたかに見えたが確実に敵を増やしていく下手さ加減も描かれる。順調な時にはいいのだが、何か問題があった時、意見の相違があったときに、彼はそれを全て他人による自分への妨害、敵対行為だと思ってしまう。自分の意見への反論は一切受け付けず、直ちに自身への反乱、攻撃と捉えてしまう幼稚さを露呈し、粘り強い説得とか妥協をせず、ひたすら相手の人格攻撃、過去の失敗をあげつらったり論点をずらしてひたすら論破し打ち据えようとする。最初から登場しているエンジェル投資家のビル・ガーリーは何度もそういうトラビスを相手にしながらも、彼の才能を信じ、それを育てていけばやがては大人になることを期待し続ける。普通なら論破されたとしても、傷つけられたことで恨みを残すはずなのだが、みなさん根気強くてよく付き合ったものだと思う。自分の周囲にいたら絶対嫌いになるし、嫌なヤツなんだけど、成長できないままに影響力を持ってしまい味方を見つけられなず弱音をはけないので、ちょっとかわいそうにもなってしまう。

さて、マネー・投資関連ドラマとして取り上げているので、どういうことが描かれているかも。まずバーンレート。急拡大する企業にはよくあることだが、企業拡大速度が早すぎるため設備投資、人材採用、開発投資などが先行し売り上げやキャッシュの入金が遅れてしまう。キャッシュフローの制御が出来ないと黒字倒産になってしまう。バーンレートは毎月支払いが必要となるお金。Uber社では交通局から運転手に課せられた罰金をUber社で肩代わりするとか、新規運転手を確保するために、あるいはライバル社に運転手を取られないためにボーナスを支出するなど多額の出費が必要になる場面が何度もくる。そのために運転資金確保のために出資者を集めなくてはならなくなる。この時に、初期段階では将来性があっても企業価値自体は低いため、出資額に応じた株式を提供すると創業者の議決権が薄まってしまい企業経営の自由度が弱まってしまう。このためにUber社では複数議決権株を創業者達が持ち議決権の希薄化を防いでいる。また、当時のIT業界ではGoogle社が圧倒的巨人であったためGoogle社からの出資を得られれば、いわばお墨付きをもらったも同然で多くの出資者を確保できる可能性は高まる。が、一方でGoogleに逆らうことは出来ないのでGoogleの出資額が調達可能額の上限を決めてしまうことにもなるという状況も描かれる。

ちょうど第一次トランプ政権成立の頃も含んでいて、トラビスがトランプ大統領の顧問に選ばれたため消費者からボイコット運動が起こり苦境に陥る様子が描かれている。第二次トランプ政権でイーロン・マスクのテスラ社に起こったことと同じことがあったと知った。なぜ人類は歴史に学ぶことをしないのだろうか。

実話に基づいているが、非常に面白いドラマでいろんな学びもある。必見。今回は、[9418]U-NEXT HOLDINGSの株主優待を使いU-NEXT見放題で視聴した。