株主優待の最近のトレンドは以下のようになっていると感じている。

□株主優待廃止から導入・再導入へ


一時、東証再編に伴い株主優待制度を廃止する企業が多かった時期があったが、この動きは反転して株主優待制度を新規導入したり一旦廃止した優待権利を再開する企業が出てきており株主優待制度を持つ企業数は増加位傾向にある。


□継続保有条件の付与、長期保有優遇制度の導入や拡大


制度自体をもつ企業が増えてはいるが、継続保有条件をつけて買って最初の権利日をまたぐとすぐに貰えることはなく半年なり1年以上継続保有が必要にするように変更する企業が増えている印象がある。あるいは1年未満より2年以上や3年以上で金額などを増額する企業も増えているように感じている。これは具体的なデータはない。あくまで個人的印象。

クロス取引などで優待権利日をまたぐだけの短期株主対策と言われているが本当のところはよく分からない。IRでの発表文章を読むと長期安定株主になって欲しいからという理由で導入されることが多い。



□年2回から年1回に縮小


以前であれば年1回から年2回にしたほうが、長期保有のインセンティブになったり権利落ちの大きさを抑える効果が期待できる。近年燃料費や人件費の増加の影響を受けて配送料金が増加しているので年2回あった優待権利日を年1回に集約する動きが増えているように感じる。この場合には2回分の金額を1回に積んで年間の優待金額に変更がないようにしている例が多いようだ。同時に継続保有条件をつけて1年分を受け取りたければちゃんと1年相当の期間保有してねという形にすることも多い。郵便料金も上昇しているので小包でない優待の場合でも同様の動きがある。

□お米優待の減少や数量削減


送料の増加もあるが、お米価格の高騰や品不足の影響が大きい。お米の優待を廃止したり、数量を削減する企業が多い。特にカタログギフトなどの場合には選択可能商品の中からお米がなくなっていることが多い。

自宅で消費する米は、もう何年も株主優待で賄っているのでかなり痛手。そんなこともあって自宅夕食はお米を炊くことが減った。半分くらいは麺類。

□プレミアム優待倶楽部の増加は継続


一時期のような増加ペースからは落ち着いたが、最近でも月に1件程度は新規導入の発表がある。プレミアム優待倶楽部のお知らせで調べると、2025年の1年間に20件。2026年になってからも3件の提供開始発表があった。

自分が観測した範囲では、以前見られたような導入後1回か2回程度実施した後で廃止するような動きは最近は見られていないように思う。ある程度事例が積み重なって、どのような制度設計をすると増加する株主数はどれくらいで費用がどのくらいになるかという経験則がわかってきたのだろうか。その分、高利回りのものが減って最低必要資金も10万、20万という自分が参入できるものがなくなり50万円前後からのものが増えているような印象を持っている(こっちは実際に調べたわけではない)。

□超高額金券優待の増加


株主優待制度の導入数が増加しているのと同じ理由で5%以上の高利回り優待。5千円や1万円、あるいはそれ以上の額面の金券優待が数多く登場している。大急ぎで株主数を増加させ、時価総額を上げ、取引量を増加させるためインパクトのある株主優待制度が必要なのだろう。かなりのコストがかかっているだろうから、美味しすぎる株主優待は早晩廃止や改悪の恐れがある。そして株主優待制度があるおかげで株価が上がっている場合には、廃止された場合に相当の急落が予想される。なので、こういう高額金券優待株の購入にはかなり慎重になっている。業績や余剰資金が十分にあれば問題ないのだが。

□QUOカードからデジタルギフトへ

以前は株主優待の定番といえばお米とQUOカードだった。QUOカードは現金同様に使えるし株主総会決議通知や株主通信などと同封して発送できて余計な送料が必要ないので好まれていたと思う。ここ数年だろうか急激に増えてきたのがデジタルギフト。QUOカードPayやPayPay, auPay, dポイントなど各種の汎用的な電子マネーやポイントサービスに交換可能で手続きはオンラインでできるのでQUOカードよりも好まれている。ただ、まだまだ個人株主には高齢者が多いのでQUOカードの方が多いかも知れない。今後、個人株主の主流が電子マネーに抵抗ない世代に切り替わっていけば、さらにデジタル化の流れは加速するかもしれない。

□食事券優待がデジタル化


外食企業の株主優待では自社店舗で使える食事券が多かった。自社店舗で利用されるので現金の社外流出が額面の何割かで済み、さらについで利用などで額面以上に消費してもらえれば売り上げにも貢献可能。実際に店舗を利用してもらうことで、自社サービスを知ってもらったりリピーターとなり株主優待券なしでの利用も期待できるとメリットが多かった。

が、最近は紙の株主優待券の偽造が増えてきたことも影響して株主優待券をデジタル化する動きが増えてきた。この時に利便性向上として、利用できる金額の区切りを紙の500円とか1,000円から10円単位あるいは1円単位に下げることも行われている。そうなると1回の注文の支払いを全て株主優待で賄うことができるようになる。株主優待券の有効期限次第では、2回分の期間が重なり1円も無駄にせず、1円も追加支払いすることなく店舗利用することが可能になる。もちろん、自社サービスを知ってもらうというメリットはそのままだし、株主優待券以上に消費してもらえる可能性も残ってはいる。

今後食事券のデジタル化は広がるのか、あるいは結果として廃止や改悪へのきっかけに過ぎないのか。

□暗号通貨優待


上記のデジタルギフトの選択肢には多くの暗号通貨があった。デジタルギフト関係なく個別の優待で暗号通貨を付与することも増えてきたように思う。自分は暗号通貨を投資対象としていないので提供される暗号通貨がどういうものか全く分からない。今後、大きく資産価値が増加するのであれば意義のある優待なのだろう。が、自分としてはすぐに使って今の生活を良い物にするのに利用できるもののほうが嬉しいので、この手の優待権利を目的に株を購入したことはないし、付与される権利をもらっても行使したこともない。

※この記事は本来別の目的で書き始めたのだが、本論に入る前置き部分が長くなったのでここで終了し、本論は後日に回す。